君の『好き』【完】




腕組みして、長い脚を片方前に出して立っているお兄ちゃん。



なんか、ほんと怖い人みたいだよ!他人の振りしたいよ!





お兄ちゃんにバレないように、ちょっとずつ間隔を開けた。



「鈴、何離れてんだよ!」


お兄ちゃんが一歩移動して私のすぐ隣に来た。




やだよーーーー!!





またちょっと離れては、ぐっと近づいて、


「う、ううん!!」


おまわりさんが咳払いをした。





「あ、こいつ妹です。こら鈴!疑われてんだろ!」




「だって、お兄ちゃん怖いんだもん!」



「怖くねーだろ!優しいお兄ちゃんだろ!バカ!」



お兄ちゃんはおまわりさんをチラチラ見ながら、私の頭を軽く叩いた。





「いっ痛い!!叩かないでよ!」



バシっとお兄ちゃんの肩を叩き返した。






「そんな強く叩いてねーだろ!」



また頭を叩かれると思って、ぎゅっと目を閉じて、



頭を抱えた。



あれ、叩かれない。




そろそろと抱えた腕から顔を出して、お兄ちゃんを見ると、



息切れした吉井くんが、お兄ちゃんの腕を掴んでいた。



























< 52 / 205 >

この作品をシェア

pagetop