君の『好き』【完】
腕組みして、長い脚を片方前に出して立っているお兄ちゃん。
なんか、ほんと怖い人みたいだよ!他人の振りしたいよ!
お兄ちゃんにバレないように、ちょっとずつ間隔を開けた。
「鈴、何離れてんだよ!」
お兄ちゃんが一歩移動して私のすぐ隣に来た。
やだよーーーー!!
またちょっと離れては、ぐっと近づいて、
「う、ううん!!」
おまわりさんが咳払いをした。
「あ、こいつ妹です。こら鈴!疑われてんだろ!」
「だって、お兄ちゃん怖いんだもん!」
「怖くねーだろ!優しいお兄ちゃんだろ!バカ!」
お兄ちゃんはおまわりさんをチラチラ見ながら、私の頭を軽く叩いた。
「いっ痛い!!叩かないでよ!」
バシっとお兄ちゃんの肩を叩き返した。
「そんな強く叩いてねーだろ!」
また頭を叩かれると思って、ぎゅっと目を閉じて、
頭を抱えた。
あれ、叩かれない。
そろそろと抱えた腕から顔を出して、お兄ちゃんを見ると、
息切れした吉井くんが、お兄ちゃんの腕を掴んでいた。