君の『好き』【完】
それって......どういう意味だろう......
吉井くんの背中を見つめながら後について行き、
一番奥の小さな二人掛けのテーブルが空いたから、
そこに向き合って座った。
ほぼ満席の店内。
がやがやと騒がしく感じるのは、
私たちが無言だからだろうか........
いつも隣に座っている吉井くんが、
すぐ目の前に座っていて、
なんだか変な感じがした。
テーブルが小さくて、
本当にすぐそこに吉井くんがいて、
「はい」ってジュースを持つ吉井くんの手が伸びてきただけで、
ドキドキした。
「ありがと」って吉井くんを見つめたら、
真正面から目が合って.......
背が高いから、
こんなに近くで吉井くんの顔を、まっすぐ見たのが初めてで......
綺麗な肌
くっきりとした二重
形の良い唇
本当に、整った綺麗な顔をしている......
目を合わせていられなくて、
ぱっと目をそらした。
「髪、初めて見た」
吉井くんの声がして、また顔を上げると、
吉井くんは、まっすぐ私を見つめていた。
「髪?」
「そっちの方がいい......って、
俺、何言ってんだよな」
吉井くんはハンバーガーを持った。
小さな顔で、
頬を膨らませながら食べている吉井くんを、
ドキドキしながら、ずっと見つめていた。
髪、巻かない方がいいって言ってくれた。
嬉しいけど、
でも.......
複雑な気持ちになった。
それって、愛莉さんと同じだから?
愛莉さんもストレートだから?
吉井くんは、愛莉さんが好きなの.......?