君の『好き』【完】
勝てない
吉井くんは食べ終わると、
アイスコーヒーを飲んだ。
聞いてもいいのかな......愛莉さんのこと。
一口ジュースを飲むと、
私は吉井くんを見つめた。
「吉井くん」
「ん?」
吉井くんはアイスコーヒーをトレイに置いた。
「昨日の......愛莉さんって......
吉井くんの幼なじみさんだよね」
吉井くんは少し目をそらして、「あぁ」と答えた。
「隣に住んでいる?」
「うん」
「ずっと小さい頃から一緒だった?」
「うん.....まぁ」
「小学校とか、中学と......」
「鈴」
吉井くんは名前を呼んで、私の顔を下から覗き込んだ。
「何が言いたいんだよ」
あ......怒ってる......
吉井くんは、ちょっと睨むように私を見た。
「ごめん。ただ......
やっぱ、隣に住んでいると、
ずっと小さい頃から一緒だと......
よくあるじゃん、漫画とかでも。
だから、吉井くんも......好きなのかなって。
愛莉さんのこと」
ぐっと下を向いて、吉井くんの答えを待った。
しばらく待っても、答えがなくて、
顔をあげようと思った時、
吉井くんが答えた。
「気になんの?」