君の『好き』【完】
吉井くんの言葉に、
はっと顔を上げた。
吉井くんは真剣な表情で、まっすぐ私を見つめていた。
好きだなって思った。
一緒にいると、
優しくされると、
もう、どうしようもなく好きで......
「気に......なる」
そう答えて、唇を噛み締めた。
「なんで?」
なんでって、それは......
吉井くんが好きだから。
でも、今ここでそれを言って、
振られてしまったら......つらい......
「昨日の様子だと、愛莉さん吉井くんのこと好きだよね。
近づかないでって言われたのに、
こんな......ごめんね」
あははっと無理して笑った。
笑ったはずが、涙が溢れてきてしまって、
下を向いた。
「俺が来たかったんだから、
鈴は何も気にしなくていいよ」
吉井くんの優しい言葉に、顔を上げると、
吉井くんの長い指が私の顔に伸びてきて、
そっと涙を拭ってくれた。
「愛莉は、本当にただの幼なじみだよ。
それに、愛莉が好きなのは、俺じゃない。
愛莉が俺を好きになることは絶対にない。
絶対に、ないんだ。
この顔でいる限り......」