君の『好き』【完】
「あの1年の子、うまいねー、イケメンだし」
「でも、ちょっと愛想無い感じだね」
「笑うと結構かわいいんだよ」
「風間くんより背が高いよね、あの子」
周りの風間先輩のファンたちが、吉井くんのことを話し始めて、
胸がチクっとして、思わず胸を押さえた。
なんでだろう。
今まで、風間先輩のことを周りの女子がいくら話していても、
なんとも思わなかった。
わかるわかるー!なんて思うことはあっても、
こんな、胸が痛むなんてことなかった。
なんでだろう、
吉井くんを誰にも見せたくないって思ってしまう。
私だけが、吉井くんを見ていたいって、
何この独占欲。
何この気持ち。
おかしい、今の私絶対におかしい!!
両頬をぺちぺちっと叩いて、
もう一度風間先輩を見た。
でも、やっぱりどうしても、吉井くんを見てしまう。
どうしても、吉井くんを目で追ってしまう。
下を向いて、パサパサと髪を揺らした吉井くん。
顔を上げた瞬間、
ぱっと目が合ってしまった。
ドキッとした。
だって、すごく真剣な表情だったから……