君の『好き』【完】
ファストフード店を出ると、
吉井くんが立ち止まった。
「どの店?」
「えっとね.....4階」
吉井くんは周りを見渡して、エレベーターの方へと歩き出した。
2階のエレベーター前に着くと、列ができていて、
その最後尾に並んでエレベーターを待った。
やっぱ、土曜日混んでるな......
エスカレーターにしようかって声を掛けようとした時、
エレベーターの扉が開いた。
列に続いて中に入ろうとしたら、
ふわっと吉井くんに肩を引き寄せられて、
びっくりして見上げると、
吉井くんは前を向いたままで.......
そのままエレベーターの中に入れられ、
扉が閉まった。
混雑したエレベーター内。
吉井くんは私を壁に立たせて、
混雑から守るように、私の顔の横に右手をついた。
ちらっと上目で吉井くんを見上げると、
吉井くんは上を向いていて、
ワイシャツのボタンを外した首元から見える、綺麗な首筋
シャープな顎のライン
横を見ると、
袖を捲った男らしい腕
ドキドキした。
顔を上げていられなくて、下を向いた時、
3階で扉が開いた。
扉が開いた瞬間、吉井くんが私の肩に左手を置いて、
私に一歩近づいた。
ち、近い......
扉が閉まっても、顔を上げることができなかった。
だって、
近すぎるし、
ずっとそのまま肩に手を置かれたままだったから。