君の『好き』【完】





えっ、吉井くんが......




吉井くんは、黒いパーカーを持って、



頭からかぶった。




そしたら、フードの部分が頭にかぶさって、



フードをかぶったまま、裾を引っ張った。




フードをかぶった吉井くんが、



なんか、かわいくて.......




吉井くんが、フードを取ろうと頭に手を伸ばしたから、



「待って」と思わず言ってしまった。



「ん?」




フードをかぶったまま、吉井くんが首を傾げた。





かわいい.....かわいすぎる!





じっと見つめていたら、

吉井くんが片手で顔を覆って下を向いた。





「なんなんだよ……そんなじっと見んな」






「ご、ごめん。つい......」





私が謝ると、吉井くんは片手を外して、



ははっと笑って顔を上げた。




そしてぱっと頭のフードを取ると、



吉井くんの髪が、頭のてっぺんでツンツンと跳ねてしまった。




「これがLだよ。Lで大丈夫じゃん?LLだと、たぶんでかいよ」




鏡からは少し離れているから、吉井くんは髪が跳ねているのに気づかなくて、



どうしようって思った。




寝癖みたいでかわいいけど、



吉井くんは嫌かもしれない。



「鈴?」




「あ、あのね、吉井くん。



吉井くんの髪が、跳ねちゃった」






「髪?」







吉井くんが自分の頭を触った。




あれ、そこじゃなくて、あれ......


もっとくしゃくしゃになってしまったから、



背伸びして、吉井くんの頭に手を伸ばした。




でも全然届かなくて.......




そしたら、ぐっと私に顔を近づけてきた。




「直して」











< 64 / 205 >

この作品をシェア

pagetop