君の『好き』【完】
えっ、吉井くんが......
吉井くんは、黒いパーカーを持って、
頭からかぶった。
そしたら、フードの部分が頭にかぶさって、
フードをかぶったまま、裾を引っ張った。
フードをかぶった吉井くんが、
なんか、かわいくて.......
吉井くんが、フードを取ろうと頭に手を伸ばしたから、
「待って」と思わず言ってしまった。
「ん?」
フードをかぶったまま、吉井くんが首を傾げた。
かわいい.....かわいすぎる!
じっと見つめていたら、
吉井くんが片手で顔を覆って下を向いた。
「なんなんだよ……そんなじっと見んな」
「ご、ごめん。つい......」
私が謝ると、吉井くんは片手を外して、
ははっと笑って顔を上げた。
そしてぱっと頭のフードを取ると、
吉井くんの髪が、頭のてっぺんでツンツンと跳ねてしまった。
「これがLだよ。Lで大丈夫じゃん?LLだと、たぶんでかいよ」
鏡からは少し離れているから、吉井くんは髪が跳ねているのに気づかなくて、
どうしようって思った。
寝癖みたいでかわいいけど、
吉井くんは嫌かもしれない。
「鈴?」
「あ、あのね、吉井くん。
吉井くんの髪が、跳ねちゃった」
「髪?」
吉井くんが自分の頭を触った。
あれ、そこじゃなくて、あれ......
もっとくしゃくしゃになってしまったから、
背伸びして、吉井くんの頭に手を伸ばした。
でも全然届かなくて.......
そしたら、ぐっと私に顔を近づけてきた。
「直して」