君の『好き』【完】
海くんがゆっくりと歩き出したから、
私もその隣を歩き出した。
「なんでわかるの?海くんすごいね」
あははっと、隣の海くんに笑うと、
海くんも優しく微笑んでくれた。
「宇崎は、すぐ顔に出るから。バレバレ」
「えー、そうなの???」
私は頬を触った。
「久しぶりに公園行く?」
海くんはまっすぐ前を向きながら言った。
私の家と海くんの家のちょうど真ん中ぐらいにある公園。
中学の頃、よくそこで海くんに剣道を教えてもらったな......
「うん」
私が頷くと、海くんはこっちを向いて、
またかわいく笑った。
公園に着くと、海くんはベンチの脇に防具袋をどかっと置き、その上に竹刀袋を立てかけた。
滑り台と、ブランコが二つ、あと小さな砂場しかない、
本当に小さな公園。
ベンチに二人座ったら、
公園の前の道を、宙(そら)くんが女の子と一緒に通った。
宙くんとは、海くんの弟で、今中学2年。
「あいつ、彼女ができてさ、部屋に連れ込んでるから、
俺、家にいづらいんだよな」
海くんは、栗色の髪をくしゃくしゃっとかいた。
宙くんは海くんに気づくと、
「兄ちゃんがんばれー」と言って笑いながら通り過ぎていった。
「うるせーなー、何が頑張れだよ」