君の『好き』【完】
海くんは、そう言いながらも、
ははっと笑っていた。
「宙には、かなわないよ。
彼女も俺より先にできちゃったし。
とうとう背も抜かされたよ」
「え?そうなの?」
「でも俺はこれから成長期を迎えるから。
絶対にこれから伸びると思う。うん。
とりあえず、今170は、いったから」
えっ。海くんが170???
「ほんと?海くん170センチもあるの?」
「なんだよ宇崎!疑ってんの???
ちょ、立て」
海くんが立ち上がったから、私も立ち上がると、
確かに意識してみると、海くん背が伸びたかも。
海くんが私の頭に手を乗せた。
その瞬間、吉井くんを思い出した。
【ちっちぇー】
「ほら、宇崎と15センチ.....いや20センチは違うと思う.....って、
宇崎???
どうした???」
海くんは私の頭から手を離した。
我慢していた涙が、一気に溢れ出してしまった。
「宇崎?」
「ごめん......海くんごめんね」
「とりあえず、座ろう」
海くんにそう言われて、
私は目をこすりながらベンチに座った。
「なんか、あった?
いや、話したくないならいいんだ。
でも、もし話してスッキリするなら、
俺でよかったら、話し聞くよ」