君の『好き』【完】
少し間隔をあけて座っているベンチ。
隣からまっすぐ私を見つめながら言った海くんは、
いつものニコニコ笑っている海くんとは違って、
真剣な表情だった。
海くん、少し顔つきが大人っぽくなったかも......
「海くん、かっこいいね」
「えっ!」
海くんは少し焦って、
ぱっと手の甲を口元に当てて顔を真っ赤にした。
「何……言ってんだよ………」
そう言って目をそらすと、あはははっと笑い出した。
あ.....やっぱかわいい、海くんの笑顔。
「どうした?風間先輩に好きな人でもいた?」
海くんはちらっと私を見ると、また前を向いてベンチの背にもたれた。
「風間先輩?」
「入学してからずっと、『風間先輩、風間先輩』って、
宇崎、風間先輩のことばっか言ってたじゃん」
あぁ.......そういえば、海くんに言ってたかも......
「風間先輩のことじゃないの」
海くんがこっちを向いた。
「私の......隣の席の人」