君の『好き』【完】
「ちょっと待ってて」
お兄さんの誕生日プレゼントを買った店から少し歩いたところで、
鈴がくるっと向きを変えて、
雑貨屋の中に入っていった。
その時、俺の携帯が鳴った。
愛莉.......?
「もしもし」
【瞬......私、やっぱ類のとこに行く】
「愛莉?落ち着けって、愛莉」
【もう、類もいないし、瞬もそばにいてくれないなら、
もう、私生きていく意味がない.......
もう、つらいの.......
だから.......】
「愛莉、わかった。今行くから」
【瞬......】
「ちゃんと待ってろよ。
とにかく、落ち着け、わかったな」
俺が電話を切ると、
鈴が不安そうに俺を見上げていた。
ひとりで帰ろうとした鈴の手を握ると、
「優しくしないで......」
そう、手を離された。
俺、何やってんだ.......
なんで、愛莉を放っておくことができないんだよ......