君の『好き』【完】
そばにいると言ったら、
少し愛莉が落ち着いてきて、
また明日、会いに来ることを伝えて、
家に帰った。
リビングに入ると、
また母さんが類の前に座っていた。
「ただいま」
「あぁ、おかえり。
午前中部活だって言ってたのに、遅かったわね。
愛莉ちゃんと一緒だったの?」
母さんは、また類のマグカップを持った。
「あ......うん、一緒だったよ」
「そう、愛莉ちゃんのこと、ちゃんと支えてあげてね。
類の代わりに瞬が。
そうすれば、類も安心すると思うから」
母さんはマグカップにココアの粉をスプーンで入れ始めた。
「そういえば、もうすぐ誕生日でしょ?
類は、何が欲しかったか知らない?」
えっ.......
「知ってたら教えて欲しいの。
ちゃんとお祝いしてあげたいから。
類は何が欲しかったのかしら......」
母さんは、マグカップにポットのお湯を注いだ。
「ケーキは、チョコケーキでいいわよね。
類は、クリームよりもチョコが好きだったから」
スプーンでかき混ぜながら、テーブルの上にマグカップを置いた。
「ごめん母さん、後で飲むから」
「えっ.....そう。じゃあ、またその時温めてあげるわね」
「ほんと、ごめん」
俺はそう言って、リビングから出て階段を上った。
自分の部屋に入り、ベッドに倒れ込んだ。
類の誕生日は、俺の誕生日でもあるんだけどな.......
俺のことは.......
そうだよな。
俺のことは、どうでもいいよな。
まるで俺の方が、死んだみたいだ.......
なんか、疲れた。
もう、俺は.......
俺でいることに、
疲れたよ........
俺は、仰向けになって、
顔に腕をのせた。
+++瞬 side end+++