君の『好き』【完】
「おはよう、瞬」
玄関を出ると、隣に住む幼なじみの吉井瞬が、
壁に寄りかかって私を待っていた。
瞬は無表情のまま私を見ると、
体を起こして駅へと歩き出した。
駅の西口まで歩いて5分。
新幹線も止まる大きな駅。
駅構内を歩いて、東口に出ると、
私はバスに乗って南高校へ。
瞬は歩いて東高校へ。
瞬は2学期から自転車に乗らなくなった。
それは、
瞬の双子の兄、吉井類(よしい るい)が、
夏休み、
自転車に乗っている時、
車にひかれて、死んだから......