君の『好き』【完】
吉井くん、どこ行っちゃったんだろう.......
保健室もいなくて、
体育館かな......
体育館に行くと、誰もいないガランとした体育館だった。
あれ......
体育館の真ん中に、バスケットボールが一個だけ転がっているのが見えた。
私は中に入り、キュッ、キュッと上履きの音を響かせながら、
ボールの元へと向かい、ボールを拾った。
ドン ドン ドン
その場でボールをついてみると、
そのボールの重さに驚いた。
「おもっ」
そして、ドンドンドンとドリブルしながらゴール下まで行き、
「シューーート」
と、両手で投げてみた。
「あれ」
入らない。てか、届かない。
私はまたボールを拾ってきて、
ドンドンドン
「よいっしょっ」
重たいボールを投げると、やっぱり全然届かない。
「へたくそー」
えっ
声の方にくるっと振り向くと、
少し首を傾げて笑っている吉井くんが立っていた。