君の『好き』【完】







俺でいることを......やめる?




吉井くんの胸の中、


その言葉の意味を必死で考えた。


でも、考えても考えても、わからなくて......





「吉井くん?




どうしたの?なんか......あった?」




私がそう言うと、吉井くんは抱きしめるのをやめて、


あはははっと笑いながら、また私の両肩を掴んだ。





「ごめん、訳わかんないよな。



ごめん.......忘れて」




そんな......




「やばい、昼休みじゃん。


ちゃんと飯食えよ」




吉井くんは私の頭をぽんぽんと撫でると、



体育館の中に入っていった。




忘れてって.......そんな......





忘れられるわけ.......ない。






「吉井くん!!」






私も体育館に一歩入ると、



吉井くんが、体育館の真ん中で振り向いた。







「なにか、あったんでしょ?




私......吉井くんの力になれないかな......





俺がちゃんと見えるかって聞いたけど、



私には......吉井くんしか見えないよ!






好きなの.......





私、吉井くんが好きなの!!





大切な幼なじみの人がいても、



どうしても、諦められない。






諦めることなんて、できない.......





どうしても、



どうしても、吉井くんがいい......



どうしても、吉井くんが好き!」













< 84 / 205 >

この作品をシェア

pagetop