君の『好き』【完】
俺でいることを......やめる?
吉井くんの胸の中、
その言葉の意味を必死で考えた。
でも、考えても考えても、わからなくて......
「吉井くん?
どうしたの?なんか......あった?」
私がそう言うと、吉井くんは抱きしめるのをやめて、
あはははっと笑いながら、また私の両肩を掴んだ。
「ごめん、訳わかんないよな。
ごめん.......忘れて」
そんな......
「やばい、昼休みじゃん。
ちゃんと飯食えよ」
吉井くんは私の頭をぽんぽんと撫でると、
体育館の中に入っていった。
忘れてって.......そんな......
忘れられるわけ.......ない。
「吉井くん!!」
私も体育館に一歩入ると、
吉井くんが、体育館の真ん中で振り向いた。
「なにか、あったんでしょ?
私......吉井くんの力になれないかな......
俺がちゃんと見えるかって聞いたけど、
私には......吉井くんしか見えないよ!
好きなの.......
私、吉井くんが好きなの!!
大切な幼なじみの人がいても、
どうしても、諦められない。
諦めることなんて、できない.......
どうしても、
どうしても、吉井くんがいい......
どうしても、吉井くんが好き!」