君の『好き』【完】
私.......?
私は今......
目の前でかわいく笑っている海くんの顔をじっと見た。
海くんはぱっと目をそらし、下を向いて、
立ってしまっている前髪をくしゃくしゃっとして、
また、顔を上げた。
そしたら、汗で濡れた前髪が少し目にかかって、
急に大人っぽい顔になったから、ドキッとした。
海くんっていつの間にこんな......大人っぽくなっていたんだろう。
「海くん.....私.....」
やっぱり海くんにそばにいてほしいと思った。
吉井くんが好きなのに、
海くんの優しさに甘えて、そばにいてほしいと思う私は、
なんて、嫌な女.......
「やっぱ、私わがままだよ。
吉井くんが好きなのに、海くんにそばにいてほしいって思ってる。
すっごいわがままで嫌な女。
自分がこんなに嫌な女だって......」
「いいよ」
海くんは、一度下を向いて前髪を揺らすと、
真っ赤な顔で、私の顔を見つめた。
「吉井を好きな宇崎ごと全部、俺.......
受け止めるから。
俺、宇崎のこと......ずっと好きだった」