君の『好き』【完】
「えっ.........」
う.......海くんが、私を.......?
あまりにも突然で、びっくりしすぎて、
固まってしまった。
「俺の方がずっと嫌な奴だよ。
宇崎が吉井に振られたって時に告るなんて、
やり方汚いよな。
今、言うべきじゃないってわかってたのに俺......
どうしても、我慢できなかった」
海くんは、俯いてしまった。
【もし好きな人の恋が全然幸せそうじゃないなら、
ずっと泣いてばかりいるなら、
俺は全力で奪いに行く】
海くん.......
「吉井を好きなままでいいから、
そのまんまの宇崎でいいから」
海くんが顔を上げて、
真剣な表情で、まっすぐ私を見つめてきた。
「俺のそばにいなよ。
いっぱい笑わせるから。
絶対に、泣かせたりしないから」
私にまっすぐ向けられている、
海くんの綺麗な瞳。
海くんの気持ちを知った今、
吉井くんを好きなまま、海くんのそばにいるなんて、
そんなことしちゃいけないと思った。
「ダメだよ……そんなの」
目を合わせていられなくて、下を向いた。
「付き合ってほしいなんて、言わないから」
えっ……
顔を上げると、真剣な顔のままの海くんがいた。
「ただ、そばにいてくれるだけでいい」
海くん………
だめだよって気持ちと、
海くんの優しさを離したくないって気持ちで、
心が揺れて......
頷いてはいけない
頷きたい
私.......
「うん......」
頷いてしまった私の心は、
弱くて、汚くて、ずるいと思った。