ツンデレくんをくれ!
「俺、工学部なんだけど」

「……知ってます」


ちなみにあたしは文学部……って、誰も聞いてないか。


「工学部って女子少ないやん」

「うん」


前に一度工学部に行ったことがあるけど、女子の姿がほぼ見られなかった。


その代わりの男子の数が半端じゃなかった。


噂じゃ男女の比率が9:1とも聞いたことがある。


女子が多い文学部でもそんなに格差ないのになあと思ってたけど。


「その中でも前から俺にちょっかいかけてくる女子がいるんだけど」

「はあ」


中出にちょっかいですか。


ずいぶんと勇気あるファイターだね。


あたしなんて、部活一緒じゃなかったら近寄りがたい奴って思うだけで気にも止めてなかったというのに。


「その女子が、俺のことが好きって言ってきて」

「はあ、なるほどね。そりゃあ大変だ。って、えっ!?」


あたしは思わず目を見開いて大声をあげていた。


中出もいきなり大声を出されて目をぱちぱちさせている。


「女の子が? 中出を好きと?」

「……らしい」

「告白されたわけ?」

「ていうか、友達の前で宣言されたというか……」

「……なんて?」

「『私、中出のこと好きだから』……みたいな」

「あのー、すみません。すげー失礼なこと言うけど」

「……うん」

「中出を好きになる女の子っていたんだ!」


ごめん、中出。言わずにはいられなかった!


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