凪とスウェル
「俺、中2で初めてこの島に来たんだ。それまで一度も来たことがなくて」


「えっ、そうなの?

お母さん、こっちの人なんでしょう?里帰りとかしなかったの?」


「うん。してなかった。

だから俺、それまで東京から出たことなかったんだ…」


「そ、それって…。

かなり、カルチャーショックだったんじゃない?」


東京とこの島じゃ、本当に全然違うものね…。


「それもそうだし。

なんせ、じーちゃんに会うのも初めてだったんだ」


「うそっ」


「ほんと。

いきなり今日からこの人が親代わりだって言われても、俺どう接していいかわかんなかったよ。

だって、初対面だし」


そんな…。


それって、どれだけ戸惑うことか…。


「俺のじーちゃんって、無口なんだ。お客さんとはまぁ普通に話すけど、家の中じゃ至って静かでさ。

全然会話がねーの」


「それはまた…」


「俺、これからどうすりゃいいんだろうって、毎日呆然としてたよ」


「八神…」

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