凪とスウェル
八神の言葉に、あたしは静かに耳を傾けていた。


「ほんと、ごめん…」


そう言って頭を下げると、八神が首を横に振った。


「いや、俺もちょっと言い過ぎた。

今でこそ島が大事だけど、連れて来られた時は、お前と似たようなこと思ってたし。

だから、もう気にするな」


「ん…」


八神がそう言ってくれると、なんだかホッとしてしまうな…。


「なぁ、お前さ。大学どうすんの?」


「え…?」


何?突然。


「お前、結構成績いいし。大学行くんだろ?」


「あー、うん」


「こっちの大学に行くのか?それとも…」


それとも…何?


「東京に、戻るのか?」


「え…?」


ドキッと、なぜか心臓が跳ね上がる。


「どうだろ…?

まだ…。

まだ決めてない」


「ふぅん…」


八神はそう言うと、視線を窓の外へと移した。

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