凪とスウェル
「腹減ったし、そろそろ帰るか。

雑煮食いてぇ」


「うーん、確かに」


隆治が雑煮なんて言うから、あたしも急にお腹が空いて来てしまった。


隆治は朝日を背にして、砂浜をゆっくり歩き始める。


もう帰るのかと思うと、ちょっと名残り惜しいな…。


隆治の背中を見つめつつ、思わずため息が漏れた。


「あっ、そうだ。隆治。

携帯のアドレス交換してよ」


「あー?」


振り返る隆治。


「だってさ、窓ガラスに石投げたりして、割れたらおばあちゃんに叱られるよ?

今度からはメールくれればいいから」


まぁそれは口実で、単にアドレスが知りたいだけなんだけど。


「無理だ」


「はっ?なんで?」


何?それ!


あたしには教えたくないってこと?


うそー。やだー。


なんか、すっごいショックなんだけど。


「だって俺。



携帯持ってねぇもん」

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