凪とスウェル
フェリーに揺られ島に着くと、あたしと隆治は大抵横並びに自転車を走らせる。


車もほとんど通らないし、かなりトロトロ走って、くだらない話ばかりしている。


しばらくすると、八神酒店が見えて来る。


お店の前に、隆治のおじいちゃんの姿が見えた。


「おう。おかえりー」


「「ただいまー」」


「じいちゃん、今日配達は?」


「あー、今日はせんでええ」


「え、なんで?」


目をパチクリさせる隆治。


隆治は平日も、よく店の手伝いをしているのだ。


「試験の発表があったんじゃろう?

試験が終わるまで手伝わんでもええけぇ、しっかり勉強せえ」


おじいちゃんの言葉に、隆治は顔を歪めている。
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