凪とスウェル
そ、それって…。


じゃあ、隆治は…。


「呆れるよな。

今さら何言ってんだよ。バカじゃねぇの?って怒鳴ってやったよ」


「隆治…」


「あの人、再婚して名字が変わったんだってさ。

俺はもう二度と名字が変わるのは嫌だし、知らないその男と暮らす気もない。

どうぞ勝手にその再婚相手とよろしくやってくださいって感じだな」


隆治は氷のように冷たい瞳で言った。


あまりに冷たくて、ちょっと身体がブルッと震えた。


「あの人が嫌ってたこの島で、俺は楽しく生きてやるんだ…絶対に…」


隆治の痛いくらいの悲しみが伝わって、あたしは胸が張り裂けそうだった。
< 188 / 733 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop