凪とスウェル
「どしたんねぇ?すず」


「えっ?」


「春休みに入ってから、元気がないような気がするんじゃけど」


夕食の時間、おばあちゃんがふいにそんなことを言い出した。


「果樹園の手伝いばーさせ過ぎたかねぇ?

家のこともようやってくれようるし、それで疲れたん?」


「そんなことないよー」


そう言って、ぐっとお茶を飲む。


「わかった!すず。退屈なんでしょう?」


ご飯を頬張りながら、母さんが話に割って入って来た。


「まぁねー。私も学生の頃、長い休みなんてなくてもいいって思ってたもの。

友達に会ってる方がずっと楽しいもんね。

だから、春休みは東京に行ってもいいよって言ったのに」


「いいの。今回は行かない」


お父さんが会いたがってたし、東京の友達にも“春休みこっちに来ないの?”って聞かれたけど、あたしは隆治のいるこの島に残っていたかった。

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