凪とスウェル
隆治のパドルの動きに合わせて、あたしも同じように動かしてみる。


左右のバランスが崩れると、真っ直ぐ進まないらしいんだけど、隆治が上手なせいか、わりと真っ直ぐに進んだ。


バシャバシャとリズム良く水しぶきの音がする。


今日は天気も良いし、ぽかぽか陽気だし、無人島に行くにはちょうど良いかもしれない。


なんだか、海のど真ん中に浮かんでるみたいだ。


しかも、隆治と二人きり。


パドルを漕ぐ隆治の背中はすごくかっこよくて。


あたしは一人、うっとりしてしまうのだった。


しっかし、カヤックで無人島へ行くだなんて。


穏やかな波の海だから、出来ることだよね。


時間がかかるかな?と思いきや、意外とすぐに無人島に到着して、あたしと隆治はカヤックを降りた。


二人は慣れた様子で、砂浜にカヤックを運び入れる。


「すずちゃんお疲れさん。どうだった?」


「こんな経験初めてなんで、すっごい楽しかったです」


しかもこの無人島、砂浜が綺麗だし、海の水も澄んでてすごく綺麗だ。


「喉が渇いたでしょ?これ飲んで」


そう言って、木下さんがお茶のペットボトルを差し出してくれる。


あたしは手ぶらで来ちゃったけど、なんて気が利く良い人なのかしら?


お茶を飲んで一息つくと、あたし達は無人島を散策し始めた。
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