凪とスウェル
隆治と二人、おにぎりを頬張る。


三種類の惣菜、割り箸まで用意してあって、木下さんって本当に気が利く人だなと思った。


目の前の海を、船が何艘も行き交っている。


船に乗った人達から、あたし達は丸見えだったりするのかな?


ひと通り食事を終えると、隆治が自分のリュックからキャップ帽を取り出して被った。


あ、このキャップ帽、見たことがある。


フェリーで初めて会った時に被ってたキャップだ。


なんだかなつかしい。


隆治は自分のリュックを枕にして、ゴロンと寝転んだ。


「眠くなったし、俺ちょっと寝る」


「はぁ?」


な、なんてマイペースなヤツ!


「日焼けするわよ?」


「大丈夫。もうすぐここ影になるから」


隆治に言われて辺りを見回すと、確かにあと少しもすれば、後ろの山の影に差し掛かると思われた。

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