凪とスウェル
当然だけど、それからあたしはほとんど眠ることが出来ずに。


ただ、枕を涙で濡らし、重い気持ちのまま朝を迎えた。


あの電話が夢だったら良かったのにと、何度も何度も思った。


学校へ行っても、誰とも話す気になれず。


もう勉強など、手に付かなかった。


あれから幾度となく、隆治に電話をかけたけれど。


ずっと電源は落とされていた。


寝不足なのと、泣き過ぎて腫れてしまった目を見て、おばあちゃんと母さんにはひどく心配されてしまった。


あと数日後に受験を控えているというのに。


あたしはもう頑張る気力も。


集中しようという気持ちも。


風邪をひかないように体調を整えようなどという気持ちもなかった。


それでも日々は残酷に過ぎ、ついに受験の日が明日に迫ってしまった。
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