凪とスウェル
「あっ、それともう一つ」


げっ、まだあるんかいっ。


「片岡さんの件」


「あー…」


「昨日、片岡さんから長谷川君に連絡があったみたいで…。

どんなに誘ってもすずちゃんが会ってくれないって、悲しんでたらしいの。

すずちゃん。片岡さんは、あんまりタイプじゃない?」


「あ、えと。

そういうわけじゃないんだけど…」


素敵な人だと思うし、普通に知り合っていれば、会って話したっていいんだけど。


隆治の友達なら、どうこうなるなんて無理だもの…。


「ねぇ、すずちゃん。

ちょっと聞いて欲しいことがあるんだけど、聞いてくれる…?」


「どうしたの…?」


寂しそうな目をする千春ちゃんに戸惑いつつ、あたしは彼女の話に耳を傾けた。


「長谷川君ってね、私の家に住み込みで働いてるの」


「す、住み込みっ?」


思わず声が裏返った。


ってことは、二人は同じ屋根の下に住んでいるってことだよね…?


やだ…。


知れば知るほど、胸が痛む。
< 348 / 733 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop