凪とスウェル
「もしかしてすずちゃん。変なこと想像した?」


「え?やだ。してないよ、そんなの」


いや、ホントはしたんだけど…。


「一緒に住んでるって言ったって、自営だから両親はずっと家にいるし。

確かに毎日顔を合わせて話はしてるけど。

休みも合わないから、デートなんてしたこともないの」


「え…」


デートをしたことがない…?


「月の最後の日曜が休みなんだけど、その日は長谷川君、絶対友達に会いに行っちゃうし。

デートらしいデートって言ったら、夜コンビニに買い物に行ったくらいだよ」


そ、それってデートって言えるの…?


「やだー。ちょっと気の毒なんだけどー」


「でしょ~?私にとっては切実な悩みなのよ。

だけど、なんだか今さらデートしたいなんて言えなくて」


彼氏なんだから、言えばいいじゃんと思いつつ…。


「そこでお願いがあるの!」


あたしの手をガシッと両手で握り締める千春ちゃん。


「片岡さんとすずちゃんを会わせるっていう名目で、私も長谷川君と出かけたいの!」


「はいー?」
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