凪とスウェル
待て待て。


ちょっと待て。


じゃあ何かい?


あなた達がデートするために、あたしは特に会いたくもない片岡さんに会って。


見たくもない、二人のイチャイチャぶりを見ろっての?


あたしはねー、これでも隆治の元カノなんだよーーーっ!


「ダメかなあ…?」


上目遣いが憎たらしいほどに可愛いけど、もう本当に勘弁して欲しいと思った。


「いや、なんか。気が進まなくて…」


「えー、そうなのー?あーん残念…。

でも、無理強いは出来ないよね。

すずちゃんの気持ちも考えずに、ごめんなさい…」


そう言って、頭を下げる千春ちゃん。


あぁ…。


千春ちゃんが性格の悪い、ムカつく子だったらどれだけ良かったか。


悲しいけど、本当にいい子なのよねぇ…。


「わかったよ…、千春ちゃん。じゃあ、一回だけね」


「ホントに~?いや~ん。すずちゃん大好き~!」


あたしにガシッとしがみつく彼女。


とりあえずよしよしと頭を撫でた。


はぁ…。


あたしってバカ?
< 350 / 733 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop