凪とスウェル
「千春ちゃんと隆治ってさ、付き合ってるって言っても、ご両親の目もあって、遠慮して付き合ってたところがあったじゃない。

だから、まだ関係もないんでしょう?」


「え…」


サエちゃんの言葉に、千春ちゃんが顔を真っ赤にさせる。


関係って、何?


「ご両親がいたんじゃ、とてもじゃないけど出来ないじゃない。

だから隆治、引っ越すんだわー」


出来ない?


出来ないって何が?


「ちょっと。どうしたの?すずちゃん」


サエちゃんがあたしの顔を覗き込む。


「え?
だって、サエちゃんが話してる意味が全然わからなくて…」


あたしの言葉に、サエちゃんの目が倍ぐらい大きくなった。


「うそっ。すずちゃんって見かけによらず純情なのねー。

借りたアパートを、ラブホ代わりにするために決まってるじゃーん」


ベシッと背中を叩かれて、口の中に入れていたご飯が出そうになった。


やだ。


一人暮らしがしたいって。


そういう意味だったの…?
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