凪とスウェル
引越し先のアパートに俺が行った時には、一人暮らしに必要なカーテンや電気、ガスレンジや冷蔵庫なんかは、既に部屋に運び込まれていた。


友達や知り合いに頼んで、格安もしくはタダで手に入れてもらったと隆治は話していた。


この引越しに、隆治はお金も手間もほとんどかかけていない。


なぜか隆治には、自然と協力者が現れる。


それはきっと。


コイツには、放っておけない魅力があるからなのだろう。


そんな隆治を平気でほったらかしに出来るのは。


多分、あの人達だけだろうと思う。


そう思うと、チクンと胸が痛んだ。


でも、大丈夫だ。


俺がそばにいるし、お前の味方は大勢いるんだから…。




焼肉を二人でお腹いっぱい食べた後、俺は隆治をアパートまで送り、自宅へと戻った。


さぁて、風呂に入って寝るか。


そう思ってドアを開けようとした時。


助手席に何かキラリと光る物が見えた。
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