凪とスウェル
すずに再会して、僅か2日後のこと。


千春さんにショックなことを告げられた。


すずが、俺のパンをもういらないって、そう言ったのだとか。


正直、すごく悲しかった…。


多分、顔にハッキリ出てしまっただろうと思う。


でも、すずの気持ちがわからないでもなかった。


俺が一方的に別れを告げたのだから、憎まれていたって仕方のないことだった。


だけど、この数ヶ月間。


その人にパンを選ぶ時間が一番の楽しみで。


悲しいかな、それだけが唯一の支えだったから。


どうにかして、これからもパンを食べてもらえないかなと考えた。


俺のことが嫌いでも、パンのことは気に入ってくれていたのだから。


そう思ったら俺は、強引だとは思いつつ、すずにパンを渡して欲しいと、千春さんに頼んでしまうのだった。
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