凪とスウェル
だけど…。


急流滑りを降りた直後から、なんだかすずの様子がおかしくて。


とりあえず、ずぶ濡れになった身体を拭こうと、タオルを買って来て手渡したら。


すずの目が真っ赤になっていた。


そんなすずの手を引いて、俺は無理矢理観覧車に乗り込んだ。


どうしてすずの様子がおかしいのか、その理由がすぐにわかってしまった。


俺も思い出していたから。


高3になる前の春休み、一緒に過ごした無人島でのことを。


すずは違うと言ったけれど、でも明らかに泣いていた。


どうして泣くんだろう。


どうして…?


そう思ったらたまらなくなって。


俺はすずの腕を引いて、抱きしめてしまったんだ。
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