凪とスウェル
すずはその時初めて、俺に胸の内を話してくれた。


すずは俺に何も出来なかった自分を、ずっと責め続けていたんだ。


ごめんと何度も謝るすず。


すごく…、すごくショックだった。


俺はすずに関して、少したかをくくっていたようだ。


すずは美人だし、周りのヤツが放っておかないだろうから、すぐに恋人が出来るだろうと思っていた。


だけど、すずは今の今まで恋人など作っていなかったし。


その明るい性格からして、すぐに元気になるだろうと思っていたけど、そんなの俺の勝手な妄想でしかなかった。


こんなにすずが変わってしまったのは、他でもない俺のせいだった。


千春さんにケガをさせたその責任ばかり考えていて。


肝心の、一番大切な人をこんなに傷つけていたなんて…。


申し訳なくて、悲しくて…。


自分の馬鹿さ加減に、泣きたくなった。
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