凪とスウェル
「すず、どうしよう…。

俺…、自分の気持ちに嘘がつけなくなってる…」


「隆治…」


「頭ではわかってるんだ。

千春さんのご両親には感謝しているし、千春さんに残った傷も、俺が一生償っていくんだって。

その覚悟はあるし、そうするつもりなのに。

でも…。

すずを好きな気持ちが抑えられない」


苦しそうに、せつなそうに言葉を綴る隆治。


どう答えていいかわからず、あたしはその姿を、身動きも取れずにただじっと見ていた。


「すずが好き…」


ずっと言って欲しかったその言葉に、ドクンと心臓が大きな音を立てた。


「好きで、好きで…。

どうしようもない…っ」


そう言った後、隆治の頬を一筋涙が伝った。


それを見ていたら、たまらなくなって。


あたしは膝を立てて隆治のそばまで歩み寄り。


自分から、隆治にぎゅっと抱きついた。





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