凪とスウェル
「隆治…っ」


そう言って隆治の背中に腕を回すと、隆治もすぐに抱きしめてくれた。


もうこれ以上力が入らないくらい、精一杯腕に力を込めた。


「隆治。

あたしも隆治が好きだよ。

他の人なんて無理。

隆治のことが、ずっとずっと忘れられない…っ」


言いながら、涙がぽろぽろと流れた。


「すず…っ」


苦しそうにあたしの名を呼ぶ隆治も、すっかり涙声になっていて。


二人で声を上げて泣いた。


シンと静かな、フローリングの狭いワンルーム。


積み上げられた段ボールの中で。


あたしと隆治はしばらく抱き合ったまま、ただひたすら泣いた。


隆治の痛み、苦しみ、悲しみ。


それを吐き出してくれたことが嬉しかった。


何より、隆治の本当の気持ちを聞けたから。


この時のあたしは何も考えず。


ただ隆治とこうしていたかった…。


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