凪とスウェル
「すずの性格からして、こんな中途半端な状態は耐えられないだろうな…。
友達思いだし、千春さんを裏切るようなマネは絶対出来ないだろう」
隆治の言葉に、あたしはうんと頷いた。
「千春さんの家のリビングに行くとさ。
千春さんが陸上選手だった頃のトロフィーやメダル、賞状が死ぬほど飾ってあるんだ。
それを見るたびにさ、俺が奪ったんだよなって。
胸が痛んでた…」
「隆治…」
「オペの次の日に、悲しそうに病院で泣いていた千春さんの姿が、ずっと脳裏に焼き付いてる…。
今でこそ奥さんも千春さんも、俺を受け入れてくれてるけど。
最初はすごく、憎い相手だったはずなんだ…。
こんな俺なのにさ、今じゃ頼りにしてくれて。
かえって必要としてくれて…。
そんな人達を裏切っていいのか…。
そう思うと、ずっと答えが出ないんだ…」
隆治にそう言われると、あたしは何を話していいかわからなくなった。
自分の家に帰りたくなかった隆治に、居場所や仕事まで与えてくれたご主人。
その人達に、あたしとの関係を言うって。
かなり勇気のいることだよね…。
友達思いだし、千春さんを裏切るようなマネは絶対出来ないだろう」
隆治の言葉に、あたしはうんと頷いた。
「千春さんの家のリビングに行くとさ。
千春さんが陸上選手だった頃のトロフィーやメダル、賞状が死ぬほど飾ってあるんだ。
それを見るたびにさ、俺が奪ったんだよなって。
胸が痛んでた…」
「隆治…」
「オペの次の日に、悲しそうに病院で泣いていた千春さんの姿が、ずっと脳裏に焼き付いてる…。
今でこそ奥さんも千春さんも、俺を受け入れてくれてるけど。
最初はすごく、憎い相手だったはずなんだ…。
こんな俺なのにさ、今じゃ頼りにしてくれて。
かえって必要としてくれて…。
そんな人達を裏切っていいのか…。
そう思うと、ずっと答えが出ないんだ…」
隆治にそう言われると、あたしは何を話していいかわからなくなった。
自分の家に帰りたくなかった隆治に、居場所や仕事まで与えてくれたご主人。
その人達に、あたしとの関係を言うって。
かなり勇気のいることだよね…。