凪とスウェル
11月の最終日曜日。


いつもなら右京の家に泊まりに行く俺だけど。


この日は千春さんを誘って、出かけることにした。


俺の正直な気持ちを、千春さんに伝えるために…。




アパートに引っ越したあの日。


俺の携帯を持って、すずが俺のアパートに来てくれて。


あの事故の日から今までのことを、全て打ち明けた。


一生秘めておくつもりだった思いを、すずに伝えることが出来た。


すずも同じように、俺を思っていてくれたことが何よりも嬉しくて。


そんなすずを、朝まで抱きしめて眠った。


こんな安心出来る夜は、俺の記憶の中では初めてのことだったかもしれない。


朝目が覚めると、俺の腕の中ですずが眠っていて。


泣きたくなるほど嬉しくて、思わずすずのおでこにキスをした。


俺のトレーナーを着ているすず。


サイズが全然合っていなくて。


でも、それがかえって可愛くて。


いとおしくてたまらなかった。


こんな朝を、これからも何度も迎えたいから。


千春さんに告げようと決意した。
< 568 / 733 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop