凪とスウェル
私が退院してからも、仕事の合間にリハビリに付き合ってくれたよね。


一人だと孤独で苦しかったかもしれないけれど。


長谷川君がそばに居てくれたから、あれだけ頑張れたんだと思う。


足が治ってからは、受験勉強にも付き合ってくれて。


私の部屋で、毎晩のように一緒に参考書を開いたよね。


図書館にも、よく通ったし。


女子大に合格した時は、自分のことのように喜んでくれたよね。


いつも、いつも私を見てくれる長谷川君。


優しくて、誠実で。


その美しい瞳に、次第に惹かれるようになった。


一生懸命仕事をしている時の、真剣な表情も素敵だった。


もう目が離せなかった。


私を心配そうに見つめる瞳。


優しく話しかけてくれる声。


気がつけば私は、長谷川君が好きになっていて…。


生まれて初めての、恋をしていた。
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