凪とスウェル
「すずちゃんのお父さんが来てくださってるし、心配はいらないよ。

私達がいたって今は何も出来ないし、今日は帰ろう」


「でも…」


「気持ちはわかるけど、もう少し待ちなよ。

術後は数日、つらいはずだし。

そんな姿、好きな人には見られたくないはずだよ。

だから、そっとしておいてあげてよ…」


サエに言われて、俺はガクッと力を落とした。


すずの顔を見たかった。


どうしても…。


どんな状態でも…。


本当に、気が狂いそうだったんだ。


すずを失うんじゃないかと思って…。


俺が早くケリをつけないから、すずがこんなことになったんじゃないかって…。


どうしても会いたい。


会いたいのに…。


だけど…。


面会できないんじゃ、仕方がないよな…。


俺は後ろ髪を引かれつつ、サエと病院を後にした。
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