凪とスウェル
フェリーが到着すると、あたしと八神は一緒にフェリーに乗り込み、自転車を停めた。


「どうする? 上行く?」


「え?」


思わぬ提案に、ドキッと心臓が跳ね上がる。


「う、うん。そうだね。

下にいると、髪がボサボサになっちゃうし」


「じゃ、上がろう」


細い階段を、八神の後に付いて上がる。


客室に入ると、八神は一番前の窓際の席に腰掛けた。


あたしは1つ間を空けて、同じ列の通路側に座った。


八神は窓の方を向き、景色をボーッと眺めている。


うーむ。


なんだろう? この状態。


こんな沈黙のまま、本土まで行かないといけないのかな?
< 70 / 733 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop