凪とスウェル
彼の事情
結局その日は、八神の釣りを夕方まで見て、公民館を後にした。
家に帰ると既に夕飯の準備が整っていて、早速あたしは台所のダイニングテーブルの前に腰掛けた。
「すず。釣りは楽しかったん?」
おばあちゃんがお茶碗をあたしに手渡しながら言った。
「楽しくはないかな。ただ横で見てただけだし」
「はぁ? 一緒に釣りしたんじゃないんねぇ?」
「してないよ。見てただけ」
「そりゃあ、すず。退屈じゃったろうねぇ」
おばあちゃんが苦笑いするから、あたしも思わず苦笑いした。
「ねぇ、すずが今日遊んだ子って、八神酒店のお孫さん?」
母さんの問いに、おばあちゃんが頷いた。
「ほうよ。隆治いうんよ。すずと同じクラスなんよ」
「へぇー!そうだったのー。
それにしても八神のおじいさん、孫と同居してたんだ。知らなかったわ」
「4年前じゃったよ。あの子が島に来たんは」
「そうなんだー。じゃあその子の親も一緒にあの家に住んでるの?」
「いや、住んどらんよ」
「え…?」
あたしと母さんは思わず顔を見合わせた。
「あの子の両親亡くなっとって、もうこの世におらんのんよ…」
家に帰ると既に夕飯の準備が整っていて、早速あたしは台所のダイニングテーブルの前に腰掛けた。
「すず。釣りは楽しかったん?」
おばあちゃんがお茶碗をあたしに手渡しながら言った。
「楽しくはないかな。ただ横で見てただけだし」
「はぁ? 一緒に釣りしたんじゃないんねぇ?」
「してないよ。見てただけ」
「そりゃあ、すず。退屈じゃったろうねぇ」
おばあちゃんが苦笑いするから、あたしも思わず苦笑いした。
「ねぇ、すずが今日遊んだ子って、八神酒店のお孫さん?」
母さんの問いに、おばあちゃんが頷いた。
「ほうよ。隆治いうんよ。すずと同じクラスなんよ」
「へぇー!そうだったのー。
それにしても八神のおじいさん、孫と同居してたんだ。知らなかったわ」
「4年前じゃったよ。あの子が島に来たんは」
「そうなんだー。じゃあその子の親も一緒にあの家に住んでるの?」
「いや、住んどらんよ」
「え…?」
あたしと母さんは思わず顔を見合わせた。
「あの子の両親亡くなっとって、もうこの世におらんのんよ…」