恋に堕ちたら




えっ?



瞬間、何が起こったか分からなかった。



が、気が付けばかなり至近距離に佐藤さんの肩先があって、



後一歩踏み出せば佐藤さんにぶつかっていたかもしれない距離だった。



「だ、大丈夫ですか?」


「あっ、はい……」



彼に声を掛けられて、私は慌てて後ずさる。



一体どうしてこの様な状況になったのか、私は全く分からない。



だから不思議そうな表情で彼を見詰める。



が、彼も同じく不思議そうに私を見下ろしている。



「えーと、あのー、どいしてこの様な状況に……」



何か喋らなきゃ!と私の口から出てきた台詞は、なんだか軽く佐藤さんを責めてるみたいな言葉だった。



その言葉に佐藤さんの表情が少しだけ陰ってしまったのを見て、私は言葉の選択を謝ったかな?なんて思ったけど後の祭り。



一度私の口から出ていった言葉は二度と私の口には戻らない。



「あのー、人にぶつかりそうになってたから……」

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