恋に堕ちたら
ため息と幸せ
佐藤さんって妙な所でこだわりがある人なんだな。
彼にため息の件を注意されながら、そんな事頭の中で考えていた。
でもさ、やっぱり私の中では今更なんだけど。
三十路を過ぎてから特に思うをだけど、もう二十歳の頃みたいな甘い夢などこの歳になると見られなくなる。
現実ばかりが重くのし掛かり、夢なんて見られなくなる。
まぁある意味『追い詰められてる』とでも言うのでしょうか?
実家の母と時々電話で話しているが、やっぱりそれとなく結婚を匂わせる話になったりもするし。
でも、何も今の時代、結婚ばかりが幸せとは限らない。
友達の何人かはもう既に離婚経験者だったりするし。
なんて私、なんでこんな事考えているんだろ?
「……ごめん、分かったから、とりあえず仕事しょうか?」
私のせいで手を休めたままの佐藤さんに仕事をするよう促すと、私も止まっていた手を動かし始める。
佐藤さんはなんとなく不服そうに感じてたみたいだけど、それても私に言われ渋々ながら仕事を始めた。
「今度ため息吐いたら、罰金ですよ!!」
えっ?