恋に堕ちたら
お昼を食べ終えた私は飯塚ちゃんに付き合い屋上に来ている。
飯塚ちゃんの煙草に付き合って。
このご時世『禁煙』が蔓延していて肩身の狭い喫煙者。
飯塚ちゃんも例外なくその部類に入り、だから昼食後は必ずここへ来ている。
「あのさ、飯塚ちゃん。いい加減煙草止めたら?」
一応社内にも喫煙所は儲けられているが、昼休みのこの時間はかなり込み合っていて、だから私達は屋上へ。
喫煙所が込み合うなら、何もあんな狭いスペースじゃあなく、もう少し広い場所を確保すればいいのに。
でも世の風潮は『煙草は百害あって一利なし』。
だから仕方ないと言えばそれまでなんだけど。
「先輩、これだけは止められません。食後の一服。これだけは何があっても私やめませんから!」
「………」
飯塚ちゃんって変な所で意固地な子だ。
変に媚びを売ったりもしないし、真っ直ぐな性格の持ち主だったりもするんだけど。
でも、その性格のお陰で彼女はかなり損をしている様にも思える。
見た目はかなり可愛い系の飯塚ちゃん。
喋らなければかなりモテる筈。
なのに口を開くとかなりとんでもない事をぺらぺら話しちゃったり。
飯塚ちゃんは気付いてるのかな?
そんな自分の事を。