「お前」って言って!
キーンコーンカーンコーン

やっと、50分という苦痛の時間が終わり、私は急いで君の所へ行った。君は私を見ると、なぜか目を逸らした。

「…好きな人、誰?」

私はもう一度、君に聞いた。もう、どんな事を言われても平気な気がする。
私がジッと君の事を見つめると、君は私の手を引いて廊下に出た。

「どうしたの?」
「人が多かったから…」

君は私の手を離しながらそう言うと、私の真っ正面に立った。君ってこんなに背が高かったっけ…?

「…」
「…」

えっと…もう一回、聞いた方が良いのかな?

「…好きな人は?」
「…お前」

君はまっすぐに私の目を見て、そう言った。だけど、私は状況をよく、飲み込めなかった。
今…お前って言った…?

「ほ、本当に私なの?」

私がそう尋ねると君は静かに首を縦に振った。…りょ、両思いなんだ…。

「お前の好きな人は?」

すると、君は逆に私に聞いた。そっか。私の気持ちも伝えないと…。

「私の前に立ってる人…だよ」
「本当?」
「うん」

私も大きく頷いた。
こんな事って…本当にあるんだ。
私はとっても嬉しい気持ちになって笑うと、君も嬉しそうに笑ってくれた。
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