電車のカレ
降りる人を待ち、ようやく彼は乗ってくる。
いつも通り、スポーツバックを持って、イヤホンをして、私からは少し離れた位置に立つ。
そこそこ人のいる電車内。
毎日乗るからこそ、慣れてきた人の多さ。
彼が乗ってから、数個先の駅で降りなければいけない。
短い距離、短い時間でしか彼を見ることはできない。
学校が違うことがこの時ばかりは、恨まれる。
でも、朝の電車でしか見られないからこそ、
朝、彼を見られただけで一日を頑張ろうという気になる。
至って単純な私だけど、それでもいい。