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日常その1
「いってきまーす!」
いつもどおりの朝。
私は玄関のドアを勢いよく開け放ち外へ飛び出した。
私の名前は真淵愛菜(まぶちあいな)。
高校二年生です!
季節はぽかぽか陽気の春、入学式当日である。
学校の正面玄関近くに咲く桜は満開だ。
私の心の桜も満開!
といいたいところだが、私は周りとちょっと違うところがある。
『ねー愛菜!今日は学校で何するの!?体育?それとも数学?』
それは、今話しかけてきた彼のが深く関わっている。
彼の名前はレイ、多分同い年ぐらい。
私しか見えない幽霊……。
なんで私しか見えないのかは分からないけど、たまたま屋上でお昼を食べてたら突然目の前に現れたのだ。
それから私は学校に行くときから帰るまでレイにつきまとわれている。
レイという名前はどうしてか教えてくれない。
なので幽霊、ということで適当に下の霊をとってレイと呼んでいる。
「ちがうよ、今日は入学式なの!授業はないよ!」
『えーないのーー?つまんねー』
「レイなにもしないじゃない…」
ちなみに周りには人が居ない。
なのでこうしてレイとしゃべれる。
レイとの会話は楽しいから結構好きだ。
いつも一方的だけど。
「愛菜ー!おはよー!」
私の後ろから声がした。
この声は先輩だ!
「加藤先輩!おはようございます!」
「おはよ。今日も元気だね」
「先輩は今日もカッコイいです!」
「あはは。ありがとう」
この人は加藤真也(かとうまさや)先輩。
サッカー部の先輩で私の憧れで大好きな人!
あー!
今日もカッコイい!!
「朝練はないんですか?やっぱり入学式だからですか?」
「そんなところだよ、んじゃ俺友達待たせてるから!また学校でね!」
「はい!また!」
颯爽とさわやかな笑顔を残して走り去っていく先輩の後ろ姿。
カッコイい、カッコよすぎる!
『ねー、アイツまた愛菜に話しかけてきたよー』
「なんで嫌な顔するのよ、私の好きな人なのに」
『だって………』
「あーはいはい!だってとかいわないの!」
『へーーい』
頬なんか膨らまして。
別にかわいいなとか思わないからな。
子犬みたいな目でみられてもかわいいなんて思わないからな。
「ほら!いくよ!」
私の1日はまだまだ始まったばかりだ。