らすとうぃっしゅ
よく行く店によくいる人
「……あった」
私には趣味があった。
変わってると思うかもしれない。
…それは楽譜を集めること。しかし楽器ができるわけではないのだ。
ただただ、音符を眺めて歌を口ずさむ。すると楽譜から楽器の音色が聞こえてきて、
私の声に重なっていくような気がする。
楽譜を見ていると、その曲を聴いているような気がしてくる。
電車の路線図脳内旅行とよく似たものだ。
そんな趣味ゆえのお気に入りの店というものがある。
楽器屋である。楽器屋には楽譜もある。
私はこの楽器屋のかなりの常連だったりする。
毎日通ってもいいくらいの究極の癒しどころなんだ。
この店の店員とは、あまり口をきくことはないが、常連として認識はしてもらえているらしい。
そりゃあ、制服姿の女子高生が毎日のように通っていれば、顔もおぼえるだろう。
私だったら愛着心すら抱くかもしれない。
それくらい通っているのだ。
私はいつからか、この店の一番の常連になったつもりでいた、
が。
あることに気がついたんだ。